囲碁の神様に2局打ってもらいました。

三連星を考えだした囲碁の神様的な存在である武宮正樹さんとお会いする絶好の機会にめぐまれました。起業家クラブの徳永さんがグアムでのゴルフ大会を企画されたので参加しましたら何とそこに武宮さんも参加されていました。有りがたいことに初日の夜に武宮さんの講演がありました。もうわくわくして講演をききました。何せ三連星という布石は一世を風靡した布石で武宮さんの発想でこの三連星で何勝も連続で勝ち続けた幻の布石でした。ちょうど“一生懸命ふまじめ”という本を上梓されて参加者に一冊づつ配っていただきました。どんな戦略を駆使してあのように連勝されたのかと聞いたら何とその答えは“私は打ちたいところに石をうっているのだ”というのです。そしてさらに驚くことに私は地にはこだわらないというのです。囲碁の基本は地所を取ることです。それを何と地にこだわらないというのです。やっぱり名人の域に達すると地にこだわれずに地がとれているのでしょう。打ちたいところに打ち地にこだわらないで打つもうこれは仙人の域なのだとおもいました。地を取るとは財産を増やすことににています。武宮さんは財産を増やそうとは思わないという、それよりも自分のやりたいことをやるのが一番いいし健康で楽しく生きていければそれが一番だという。なるほど財を築いていい生活をしたいのが凡人の考えだがさすがは名人の域にたっすると世俗を越えてしまわれるのですね。素人は必至になった地取りに専念するし、石を殺されてはいけないので必至になって我が石を守ろうとする、そしてまた財を稼いで少しでもいい暮らしができるようにお金がたまるようにとおもうものです。

なるほど名人はすでに

地を去り戦略を去り 我が思うところに石を打つのだろう

と名人の心を知ることができました。

とにかくいつでも自分のやりたいところに打ちたいところに打つのだという。実生活もまた自分のやりたいことを一生懸命にやるのだという。今武宮さんはダンスに凝っておられて今はプロの域にたっしています。何と一週間に3日それも着替えを3着ももって練習にいくそうです。一回の練習で汗びっしょりになるのですぐ取り換えるのだという。そして3回もとりかえるのです。大変な遊びをまじめにやっておられる、そしてまた碁の方は今またすごい勢いで勝ち抜いていらっしゃるようです。今58歳だそうですが。ますます碁はさえているようです。打ちたいところに打つそれが脳細胞をやはらかくしているのだろうか。今年はタイトルを又取るのではないかといわれているようです。たのしみです。かって 本因坊、十段位、そして名人位など数々のタイトルをものにしてそして今60に近くなって又タイトルをうかがう位置におられるようです。


いよいよ対局。
夕食後に徳永さんと二人で一局おねがいしました。二人とも5目おいておねがいしました。本来なら9目おいてもかなわないのですが。5目しかおかせてもらえませんでした。打ち始めてどうもスーと空気が抜けていくようで相手の抵抗がない。なんだか空気を相手にしているようでいささかきがぬけてします。とにかく我々の碁はとにかく負けるものかと必死に打つものだから相手の意気込みがひしひしと伝わってくるのでこちらも力がこもる。かって学生時代に柔道をやっていたときに先輩の高段者と取り組む時相手と組んだ時何と空気を持ったようでちっとも相手が感じられないことがあった、少しこちらが押したり動いたりするといつの間にか畳の上に叩きつけられていたのに似ている、しかし碁の方が叩きつけられる感覚がないからなおこまる。しかししばらくすると我が石は瀕死の重傷を負っていた。なるほどこれだけ実力が違うと相手にしてもらっているのかどうかもわからない内にもうさんざんやられていた。とにかく面白くない感じでした。柔道なら畳にたたきつけられて十分な稽古をつけてもらったというありがたみがあるがこの神さまとの対局は結局空気と戦っているみたいでもういただけませんでした。やっぱり分相応にへぼ碁でもやっている方がいいのかなあ。もう少し修行してからそのうち又教えを請うことにしよう。同時並行で徳永さんも終わっていました。徳永さんの方は少しまあまあーに戦っていたようです。

次の日が終わってから今度は徳永さんと打つことにしたどうも二人とも同じような実力のようで私が黒を持ってうちはじめた。さてこちらはお互いの気力がひしひしとつたわってきます。お互いに負けてはいかないという気合が伝わってきっます。だから素人同士の碁はおもしろいものです。打ちたいところに打つなどとはとても考えておれません。もう地をとりにいきます。そしてまた貪欲にも相手の石をころしにいきます。とにかく戦略は地を取ること相手の石を殺すこと、将軍の戦ではなく足軽の戦です。こんなことをしていて人に講演するときは戦略を考え、競争相手の手の内を十分に読み我が方に有利なように兵を動かすごとくビジネスをしなさいと、高いところからの賜っている自分を思い出しながらひたすら相手の石を殺すことに集中しています。まだまだ人間ができてないのですね。それはともかく打ちたいところでなく相手を倒さなければいかないところに打ち、地を取るために必死に青手につかかていきます。そして時には自滅してまけるのです。徳永さんは私のがむしゃらを軽くいなされてユウユウとうたれていた。
でもいい勝負でした。又の機会を見つけてうちたいものです。ゴルフも碁もやっぱり人生そのものですね。名人のゴルフはやっぱり名人のゴルフでした。いつの日か雨宮さんの迫力がわかるようになってから又教えていただきたいものです。

そして又ゴルフでも一緒の組で回らさせていただく光栄にめぐまれました。さすがに碁のぎふうのように宇宙流のゴルフです。けしてりきまず、しかしダンスで鍛えた足腰はしかりと大地に根をはやしています。私の方は力任せになるべく遠くに飛ばそうともう毎回、親の仇を討つべくクラブを振りまわしている割にはボールは決して真っすぐには飛んでいきません。さすがに武宮さんのゴルフもまた棋風そのものでした。グアムのゴルフはこの後大雨に襲われたコールドゲームとなってしまいました。女優の藤田佳子さんはさすがに雨の中でいいスコアーでまわっていました。ベットをお願いしたらやめておいた方がいいわよと軽く言われて、まったくそのようになってしまいました。

2日目もゴルフ、今日は武宮さんと一緒でないので名人に気兼することなく我がゴルフを徳永さんの息子健一君と組んでたのしみました。夜は打ち上げのDinner 今回はホテルコーポレイッションの田中健介社長のご厚意でグアムのシラトンホテルとそのゴルフ場で歓待していただいた最後のDinnerをごちそうになってプレジデントスイートで歓談した後せっかくだからこのチャンスにもう一度武宮さんに一局を打ってほしいと厚かましくおねがいしました。今回は石を殺されないように頑張ってみたが歯が立たないのはしかたがない。我々の碁は60目ぐらい負けていても大体最後に大逆転で10目ぐらい勝てるので決して途中で辞めないで最後までうちつづけるのです。そして最後には All or Nothing でゲームがおわるのです。ゴルフの18番ホールのDouble Or Nothing みたいなものです。たいがいDouble で支払いする羽目になっていますが。

さて田中社長、音響の大朏社長などが観戦されていたもう大半が負けていたので田中社長がもう60目負けているからそれで終わりなさいと宣言されたのでここでギブアップしました。そして今度は田中社長と武宮さんの対戦になりました。武宮さんは田中社長の先生で大変きびしい指導をされていると田中さんははなしておられた。段の上の人ながらときどき武宮さんが3目おいて打たせたりするそうです。そんなわけで田中さんはプロ並みの碁をうたれているようです。さて対戦がはじました。武宮さんの気迫は全然感じられないそれに比べて田中さんの気迫のすごいのが感じられる。やっぱり高段者との差がここに出るのか。武宮さんの打たれる石はそれほど奇抜ともおもわれない。相変わらず空気が打っているような雰囲気でした。しかし我々観戦者はもうその一目一目の重みのあることなるほど高段者の碁というものはこういうものかと関心させられた。夜も更けてきた、また田中社長の石が安定したところでもうこれだけにしようと終わりになりました。田中さん方が少し有利のように見受けられた、いや素晴らしい一局をみせてもらいました。

いやー人生はあまりは力まない方がいいようですね。
最後に武宮さんにサインをいただいた。
わざわざ毛筆で何とその書が

“遊神”

楽しいですね。
いつの日かもう一興局相手の息が感じられるようになったらお手あわせいただきたい。