ベンチャー経営心得帳   南部 修太郎 著

  

南部さんが 本を出されました。”ベンチャー経営心得帖“という本です。
                     
南部 修太郎 さんに会ったのは確か彼がIEEE の委員をされており講演会を企画されてその講師を私に依頼して来れれて講演したときがはじめてでしょた。

講師は私のほかに2名でその一人がベンチャーでIPOされた会社の社長でした。私はシリコンバレイのチャレンジ精神について私の過去の経験から話して何とか日本のアントレプレニャーを 鼓舞しようと思いそのような話をしました。私の次にIPOされた社長が壇上に立ちいきなりシリコンバレイの人はあまりにもシリコンバレイが良い所だと喧伝しすぎます。シリコンバレイなにものぞ、われわれは今日本で頑張っておりしかも上場を果たした。私などはシリコンバレイに行ったこともないし行く必要も感じないと思う、あまりシリコンバレイの賞賛はおかしいのではないかわれわれもすばらしい技術を持っている、何もシリコンバレイにおもねなくても良いのではとの発言でした。

彼は日本でむつかしいIPO を果たしたのでそれなりに意気軒昂だったとおもいます。しかしこれはもう明らかに私に対する嫌がらせではないのかと一瞬思い講演が終て懇談会のせきで噛み付いてやろうと戦闘準備をして講演が終わるのを待っていました。
講演が終わってからまず南部さんが私のところにすぐ飛んできて挨拶されました。そして大変すばらしい講演でしたといわれ、アントレプレナーについてよくわたったと大変なお褒めをいただきました。先ほどから戦闘準備をしていたのもすっかり忘れて平静な心に戻りくだんの講演者とも仲良く話し合いができました。そして南部さんが松下電器での半導体の仕事をしておられるというのでまた大変話が弾みました。

それから数年して携帯電話のIC を開発している会社に投資してその会社のICを日本メーカーに売り込みにエンジニヤとともに日本メーカーを訪問しました。そのとき松下電器にコネがなく何とか松下のエンジニヤーに会いたいので南部さんにおねがいしてアポントをとってもらい携帯電話の事業部を一緒に訪問してもらいました。

私が南部さんは松下の携帯電話の基礎を築いた人でしかもガリウムアーセナイドのICを最初に開発した人で松下の携帯電話の父なのだと紹介しました。エンジニヤも大変喜んでお互いに話が弾んでいました。

南部さんの”ベンチャー経営心得帳“の本 を読んで当人が携帯電話の父だといっているのを、うべなるかなとおもいました。彼が自分で言う携帯電話の父には日本の企業内の複雑なしがらみがまとわりついていていてその思いはペイジの行間ににじみ出ています。

それから数年して南部さんは松下電器をやめて自分で会社を設立します。そして日本のアナログ技術を何とか世界に冠たるものにしようと”高周波アナログIC研究会“を立ち上げます。

そしてまた私もまた縁あって第1回目の講演会に京都大学のイノベイションプラザ京都で講演をさせてもらいました。私はアメリカにおける高周波のアナログIC の現状と将来について話させてもらいもらいました。大勢の日本の権威の方々が集まっておられて大変光栄な役をいただいたと思っています。そしていかにして日本のアナログ技術を発展させるかのどについて意見交換することができました。

南部さんの ”ベンチャー経営心得帳“(アセットウイッツ社出版) の本は大変考えさせられる本です。そして日本のR&D について大変考えさせられる本でいろんな 示唆をいっぱい含んだ本でした。

今日本の大企業が大変な閉塞感に満たされています。大企業に働く優秀なエンジニヤーが腐っています。それをなんとかしないといけないのです。私も日本の企業に働いていた一員です。ですから南部さんの苦労がとてもわかります。

大企業の閉塞感はどうして起こるのでしょう。
大企業は 上司が部下を殺すからです。その殺された一人が南部修太郎さんです。松下にとっては大きな損失でしよう。しかし南部さんは自分のビジョウンをしかり実現して最後に殺されたのでまだ救いがありました。そうでないと業半ばでは 死に切れません。日本の企業ではとにかく出る釘は打たれてそして殺されるのです。

かって日経ビジネスの 有訓無訓 に登場させてもらったことがあります。そのなかで編集者からの質問で日本の大企業は新しいイノベイションが出ないし優秀なエンジニヤーが見えないそのうち大企業はつぶれてしまうのではないかとの質問でした。それに対して私はいや日本の大企業にはすごい人が4, 5人いてその人たちがあの大企業を支えているのです。と答えました。すなわち骨のある奴がかならず4、5人いてその連中が必死になって新しいアイデヤを出しわが身を賭してそのアイデヤを実現して会社を救っているのです。と説明してあげました。出る釘は打たれます、また打たれてもへこたれない数人がいるのです。大企業はこのほんの一握りの人たちで支えられています。

今でも時代劇で下級武士が殿に申し入れをします。 もしその意見が受け入れられなければ切腹を覚悟での提案です。その提案が優れておりあるいはその人の意気込みの凄みがあれが 殿も受け入れて実行させます。大企業のなかにも同じような志士がいるのです。そしてヒット商品を生んで会社を救っているのです。

自分のビジョンをしっかりと持って身を賭している数人が大企業のなかにいるのです。だから日本の大企業はまだ大丈夫なのだと 有訓無訓で述べさしてもらいました。

しかしほんとはそのプロジェクトを大成功させたエンジニヤーは残念ながらその後に殺されてしまいます。 まずは 殿に向って階級を超えて行動したことがまず減点一となります。そして次は上司が目障りになりいよいよ上司が彼を殺しにかかります。目の上のたんこぶになってしまっているのです。しかしそれでも勤皇の志士は次々と出て大会社を支えます。武士道は下級志士にこそ残っているものです。

この優秀な人たちが殺されないようになるまでは日本のカルチャーを長い時間をかけて修正していく必要があります。それは出る釘が打たれない環境を長いあいだにかけてつくりだしていかなかればいけないのです。とにかく企業内で成功すると足を引っ張られます。殺されないようにして会社を救うプロジェクトを推進する必要があります。

私の面倒見てくれた上司がいつも私に言ってくれました。お前はどちらかというと”出る釘だから“足を引っ張られないようにしかりと大きな石にでもしがみついていなさいとよくいわれた。 かれはもしかすると彼自分が大きな石だと思っていたのではないかと思う。そして俺にしかり捕まえておれ といったのかもしれません。

しかし彼こそまた大変に出る釘でしたから私よりも先に殺されてしまいました。さて私をどのように自分をまもろうか。とにかく自分のやりたい仕事ができるようにとにかく足を引っ張られて倒されないようにしようと考えました。なにせ自分の好きな仕事ができなくなってはおしまいです。ですから頭を低くして風が頭の上をとうり過ぎるようにして身を低く自分を守ってきました。そんなわけで大変いろんな面白い仕事をさせてもらったと思っています。

出る釘は打たれるのですがまた上層部はこのでる釘がどこにいるのかちゃんと知っていますそして緊急時にはこれらの人を動かして企業を救うのです。

ある大企業の副社長と話したことがあります。そしてこれこれのプロジェクトがあるのですが。貴社では誰にもっていたら良いですかとお聞きしたところその副社長がなんとその件はテレビ事業部だとA君が良いね。そしてコンピュウター事業部なら B君だね。LCDならC君だね と全社の侍(出る釘)の名前を全部知っているのですね。この会社は出る釘を大事にしているようです。ですから彼らを殺すのは中間間管理職ですね。そしてこれらの出る釘のなから次の社長が出るときに山下とびとか14人抜きなどの人材が出るのですね。短い人生とにかく出る釘で行きましょう。そしてそのために討ち死にしても必ずあなたを生かしてくれるところがあります。チャレンジしましょう。

人を生かす経営
南部さんは部下を非常によく育てています。そして十分に力が発揮できるように仕事を与えています。R&D の仕事はどのようにしてチームが張り切って開発にチャレンジできるようにするかが重要です。とにかくビジョウンを掲げそれを共有して目から火が出るほど努力する、それが成功の秘訣です。特に大企業のなかでは部下が目を輝かせて開発に携わるよなテーマが与えられていないことが多すぎるのでは。また特に部下が目を輝かせてできるプロジェクトを与え、もしその事業が会社として小さければその部門をスピンオッフして会社としても援助を行えばその会社が大きく発展したときに持ち株からの収入を上げることもできるので積極的に活用して日本の底力を挙げたほうが良いのでは、南部さんも 殺される前にもしスピンオッフできていたら世界一のGaAsの会社ができたのではないかと思う。シリコンバレイではスピンオッフはよくあります。

インテルに働いていた2人のデーターベースのエンジニヤーが自分たちの技術をインテルからライセンスしてもらって新しいサーチエンジンの会社を設立しました。インテルにはその見返りに会社の株を渡しています。そしてインテルもまた彼の会社に投資してくれています。

私のインド人のもうひとりの友人はHPでインターネット でリース業務の管理をするソフトウエヤーを考え付きをこれを上司にHP のなかでプロジェクトとして取り上げてもらうように交渉します。しかしHP ではこのプロジェクトは取り上げてもらえなかったようです。しかし上司はそれなら自分で会社を作って独立したらとサジェッショウンしたそうです。それで彼女は独立して会社を作り大成功しました。

このようにアメリカの企業はエンジニヤーの個性を尊重するしその人の適材適所を第一に考えてくれているようです。私もTI をやめるとき上司がいろいろ変わりの適所を提案してくれてそれでも私がフーヤチイルドにどうしても行きますといったらそれでしょうがないね、Good Luck といって送り出してくれました。

日本の大企業は優秀なタレントをたくさん抱えながら大半をそれらの出る杭いを自ら殺してしまっています。早く人材の流動性が増えてくれれば良いと思いますが。

逆に日本のエンジニヤーはあまりにも横のつながりがなくしたがって横えの移動そのものが無理な状況に置かれています。もっと水平思考で行きたいものです。 終身雇用制の悪弊として縦型社会の壁が高すぎてよそが見えないようになっています。日立ファミリー、東芝ファミリー、NEC ファミリーとなって外部との接触がなくなっています。この弊害を乗り越えるにはもっと学会に出て新しい情報を身につけまた外国のエンジニヤーともネットワークを広げるべきです。 アメリカのエンジニヤーは自由に横のつながりを作り上げて自分の幅を広げています。

今はWorld is flat です。日本中のみならず世界中にねとワークを張って自分の視野を広げるべきです。そしてこのなかから人生の友が見つかかもしれないしまたは起業できる仲間ができることもあるはずです。とにかく日本の大会社の優秀なエンジニヤの皆さんネットワークを広げてスピンオッフを考えましょう。南部さんのこの本を読んでぜひ参考にしてください。

本は書きWeb Page からも買えます。 www.asset-wits.co.jp
アセットウイッツ株式会社出版電話(075-681-7825)

高周波アナログ半導体ビジネス研究会 事務局
株式会社 アセット・ウィッツ
担当:西河、高橋
〒601-8047 
京都府京都市南区東九条下殿田町13九条MIDビル102
TEL: 075-681-7825 / FAX: 075-681-7830
E-mail: h-analog@asset-wits.co.jp